2009年12月31日木曜日

2009年(平成二十一年)

新珠やお互い五十路同級生
駅伝とサッカー三昧寝正月
一本の変な大根初笑い
大根のなんとあられもなき姿
大根を裸ん坊を抱くように
ときめくや梅の蕾に紅の差し
残されし枝と切られし梅の枝
さりげなくはしゃぐことなく梅開く
ぬくもりを背中合わせに梅の花
梅の香の記憶は遠く枝の先
見習いの入浴ヘルパー春隣
立春や入浴剤に道後の湯
花粉症はじめましたというマスク
大臣のろれつ回らず寒戻る
なつかしい人と会う春耳鼻咽喉科
指先で計る酸素や春浅し
河津桜西から雨となりにけり
春光や母を気づかう子の心
啓蟄や昼飯前の腹の虫
歳一つ重ね感謝の春一日
合格の電話今かと待ちかまえ
合格の受話器耳にあたたかし
桜もね青い空が好きなんだ
飛翔体誤報誤探知春霞
桜前線上空ゆくはテポドンか
行く春や豚には罪は無いだろう
春雷や裁判員制度はいかに
大型連休気になる人出とウィルスと
葉桜や素通りして行く人ばかり
葉桜や命はとどまることのなく
新球場センターポールに鯉のぼり
びしゃびしゃと雨降る地べたこどもの日
生かされているということ若葉雨
生きてゆくチカラください若葉雨
梅雨近し知らせまだ無し尋ね人
母の日や母でなければ出来ぬこと
青嵐夜通し騒いでゆきし朝
一番機ぐんと機首上げ初夏の空
右上の奥から二本目虫歯の日
梅雨近し車椅子ごと乗る体重計
紫陽花にさしかけている日傘かな
梅雨に入る呼吸器つけて灯を消して
雷神の天駆け巡る足の裏
左手で書く不在者投票梅雨暑し
種ぷっと吹き出す笑顔さくらんぼ
さくらんぼ御天道様の種ひとつ
痰を引く音にまぎれて蚊の羽音
七夕や「世界平和」が揺れている
夏風邪の長引きそうな一家族
日食や月の背さぞや熱かろう
長梅雨や国会解散はしたけれど
蝉しぐれ診療終えて蝉しぐれ
八月の空に八の字富士の嶺
吸い飲みに一杯のお茶原爆忌
短夜の眠りを覚ます震度六
断水の蛇口ひねれば蝉しぐれ
余震に時おりヒヤリとする残暑
夏やせの骨の重さを持て余す
秋の空リクライニングの車椅子
行く夏のバックミラーに海がある
渋滞の遥か先までいわし雲
大屋根に高層ビルの夕日影

2009年10月6日
秋晴れのこの一日や通院日
秋の雲抱かれて移る車椅子
少しだけ遠回りして秋うらら
そこはかとなき秋の気配に目覚め
無花果や食わず嫌いのそのひとつ
秋風や透明人間とすれ違う
選挙車に声かけられし田の案山子
ワクチンのしみいる秋の午後三時
紅葉の今が見ごろと言われても
芒揺れ揺れて新たな風を生む
空っぽの無人販売天高し
介護受く手足の白さ薄紅葉
池の辺に紅葉せり出す水鏡
散紅葉お堂にいつも供え物
木枯しや骨の擦れ合う音がする
晩秋や横綱の尻美しき
地球には夜がありけり冬銀河
日暮れきてまとう光や冬木立
円高とデフレの中を師走来る
万病の寄り合う冬の待合所
看護師の指の包帯葱白し
一輪は天を仰いで寒椿
子規ほどの食欲も無き冬ごもり
くれぐれも体大事に年の暮

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