2002年12月31日火曜日

2002年(平成十四年)

---------- 2002 ----------
うえ向いてまえに向かって年迎う
元旦の昼のほどよき酔いごこち
元旦の早や昼時の酔いごこち
雪道にしかと足跡つらなれり
車椅子たじろぐ段差余寒なお
浅き夢眠れぬままに余寒なお
キャッチボール少し遠めに日脚のぶ
あたたかき家族の絆春座敷
寝違えて首をコキコキ木の芽雨
寄り添いつ寄り添われつつ沈丁花
春光に倒木の魂昇華する
憂きことのひとつやふたつ春の星
三月へ燕来たる日訃報ふたつ
腹立てし我を一閃初燕
四月馬鹿明日は夏日という予報
桜餅食べつつ佐久の花便り
山若葉人美しく生きるべし
春眠を抱き起こされし此の世かな
初燕そこを曲がれば母校見ゆ
南天の若葉こぼるる千雫
急上昇一転二転夏燕
早々に仕事切り上げ初鰹
夏燕一段飛ばしで駆け上がる
本日は散髪日和夏燕
夏草や放置竹林休耕田
SLの直立不動青葉風
夏草やレールは身の丈ばかりなり
雨漏りの言わば序の口走り梅雨
そそくさと燃えるゴミの日走り梅雨
花苗のほとほと小さき命かな
仲裁の潮時はかる初鰹
雷や逃げ道の無き車椅子
諳んずる時のまなざし風光る
よくとおる諳んずる声初夏の風
万緑が前頭葉を開放する
日の丸の青いシャツ着て夏来たる
梅雨空へ日本勝利のときの声
飛べること信じた瞬間燕の子
0対1で戦いすんでずぶぬれて
改装の木の香しっとり梅雨もよい
梅雨寒の波待ち潜水調査船
改装の大工思案の梅雨晴れ間
さりながらやむにやまれぬ男梅雨
改装の床ピカピカに梅雨晴るる
炎天を行く導火線の火の如く
湯上りの胡座の足占月凉し
破れ目がトレードマーク麦わら帽
一睡の余地を探して熱帯夜
目覚めれば蝉の天下よ鬨の声
戦争と平和見てきた夕日です
暗算は苦手と言う子蝉時雨
駄菓子屋の路地より眺む遠花火
帳尻の二桁合わぬ夕残暑
夕空に焼き付けられし山の影
朱に赤をそそぎ一湾大夕焼
秋暑し長々寝そべる寺の猫
佇て真似してみたる虫の声
日と影のあわいを舞うや秋の蝶
案の定御船祭の空模様
秋風や耳に残りし練り囃子
声ほどは大きくはない夜の蜘蛛
あらぬ声あげたる不覚夜の蜘蛛
ちちろ虫泣きたいときは泣けばいい
泣き疲れ眠りつくまでちちろ虫
フリーター流行る日本キリギリス
虫の音に信心深くなりたるや
不器用なまでの一途さちちろ虫
秋冷の窓夢ひとつぶん開ける
帰らざる月日冬めく日本海
暮れ易し新聞配り行く足音
雨の日は寒くはないがしょうがない
花苗の小さき命よ暮早し
冬夕焼逝きたる空の薄化粧
オリオンの瞬く天に召されしや

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