---------- 2003 ----------
初明り未だ見果てぬ夢のさき
新年の貫いてくる日の光
大寒や横綱若く引退す
木枯しや寝癖頭のそのまんま
畳の目数えるように日脚伸ぶ
あれこれと周りに並べ風邪の床
涙目の訳は春北風のせいと言う
何事と思えば寝言冴え返る
風しきり侘助の花ひとつきり
寝て一畳起きて半畳日脚伸ぶ
鬼の豆食らうや虫歯痛たたた
春寒の口あけて待つ歯科の椅子
犬小屋に雀来ている木の芽晴
少年に跳ねて乾きし春の泥
あれこれと四方山話桃の花
通院の帰路花人と成り済ます
葉桜や銀歯となりし歯が二本
白黒のテレビ懐かし花の雨
春雷や十中八九海の上
チューリップ朝一番の深呼吸
淡く濃くさざめき寄せる若葉光
花南天少子高齢という時代
梅雨に入る合併する町しない町
紫陽花の明日は明日の雨の彩
梅雨籠り眼鏡を拭いてかけもせず
夕刊といっしょにでっかい蚊がきた
雨気満々庭先熱帯雨林帯
ピアニカの屈託ない音色梅雨晴間
ストレス解消と答える子供梅雨晴間
梅雨晴れ間罰金一万五千円
切れた輪ゴムつないでおく梅雨長し
立ち読みの昨日の続き夏燕
水たまりかと思いきや昼寝猫
炎昼のどこか油がもれている
土砂降りや天も地も無き水煙
土砂降りに芙蓉の花の咲きそびれ
夕刊で蚊を追い払い追い払い
右の頬打った掌もぬけの蚊
静けさやあれがとどめの遠花火
ピッチャーライナーはっしとつかむ炎天下
熱戦の明日は決勝雲の峰
火取虫火星六万年の大接近
新涼の朝刊広々と広げ
月に火星近づく秋の夜は更けて
灯り消し火星寄り添う月仰ぐ
仲秋の月と火星の一会かな
今日の月昨日は失せし明日の夢
まんじゅしゃげ嘘をかさねてしまいけり
秋風やボブ・ディランの嗄れ声
言い訳はしないときめた秋の空
こだわりはさらさらなくて秋の空
いわし雲鰯不漁の空一面
薄暮めき朝から灯す秋の雨
コスモスの手折りし風は野に返り
一山の彩り一葉に柿紅葉
秋風や鯉の綾なす水の紋
絶妙の笑顔のいとしそぞろ寒
味噌汁に卵割り入れ今朝の冬
少年の笛つっかえつっかえ冬に入る
暮れかかり晩秋の匂いしてきたり
小春日やワイロ最中は抹茶餡
テロはいつやむのだろうか冬日向
テロやまぬ世界の一隅冬日向
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