2023年11月30日木曜日

隙間風鏡の中の独りぼっち

隙間風鏡の中の独りぼっち

冷え込んだ夜はガラス窓から冷気が忍び寄って余計に寂しくて。
すきまかぜ かがみのなかの ひとりぼっち
季語:隙間風(すきまかぜ)
障子や戸の隙間から入ってくる冷たい風のこと。隙間に目張りをしてこれを防いだりする。身にしみる風である。

2023年11月29日水曜日

空っ風人っ子一人猫も居ぬ

空っ風人っ子一人猫も居ぬ

空っ風が吹き抜ける道には人影もなく猫の姿もありません。
からっかぜ ひとっこひとり ねこもいぬ
季語:空っ風(からっかぜ)
晴れた日に吹く北西の乾燥した季節風。ことに上州の空っ風は有名である。日本海側に雪を降らせて乾燥した風が、山脈をこえて関東平野に吹き荒れる。

2023年11月28日火曜日

小春空仰げばおわす父と母

小春空仰げばおわす父と母

ありがとうお世話になりましたもういいよそれではさようら。
こはるぞら あおげばおわす ちちとはは
季語:小春空(こはるぞら)
陰暦十月の異称である。まだ本格的な冬とはならず暖かい日和が春先の陽気を思わせるが、春とは区別して「小春」という。冬囲いに精を出したり、越冬野菜を取り入れたり、大根や柿を吊るし干にしたり、本格的な冬に備えるころの日和である。

2023年11月27日月曜日

来し方を偲びつ霜の夜のしじま

来し方を偲びつ霜の夜のしじま

天に召された人生を偲びつつ静かな夜の夢の中をさまよっています。
こしかたを しのびつ しものよのしじま
季語:霜の夜(しものよ)
晴れた寒気のきびしい夜に、霜は降りる。家にいても、しんしんと寒さがつのる。夜空には星が澄んで見え、一段と輝きをましている。こんな霜の降る夜のことである。

2023年11月26日日曜日

突然に訃報が届く冬めく日

突然に訃報が届く冬めく日

訃報は突然に届くものとは思いますが突然すぎて動揺するばかりです。
とつぜんに ふほうがとどく ふゆめくひ
季語:冬めく(ふゆめく)
町のたたずまいや山野の眺めばかりでなく、雨や風、空気なども冬らしくなること。人の何気ないしぐさなどにも冬の訪れを感じることがある。

2023年11月25日土曜日

冬木立芯の強さを吾にほし

冬木立芯の強さを吾にほし

枯れたように見えて冬木は枝の先まで凛と立つ強さがいいなぁ。
ふゆこだち しんのつよさを われにほし
季語:冬木立(ふゆこだち)
冬の樹木「冬木」が群立しているさまをいう。落葉樹も常緑樹も冬木ではあるが、葉を落とした冬枯れの裸木の木立は、鬱蒼と茂る夏木立と対照的にものさびしいものである。

2023年11月24日金曜日

乱舞する蝶の如くに落葉かな

乱舞する蝶の如くに落葉かな

季節外れの暖かさになり、風に吹かれて落葉がどっと舞ってきます。
らんぶする ちょうのごとくに おちばかな
季語:落葉(おちば)
晩秋から冬にかけて、落葉樹はすべて葉を落とす。散った木の葉ばかりでなく、木の葉の散る様子も地面や水面に散り敷いたようすも表わす。堆肥にしたり、焚き火にしたりする。

2023年11月23日木曜日

病室は静か勤労感謝の日

病室は静か勤労感謝の日

いつになく静かな病室の窓をいつものように日が暮れてゆきます。
びょうしつは しずか きんろうかんしゃのひ
季語:勤労感謝の日(きんろうかんしゃのひ)
十一月二十三日。働くことを喜び働く人に感謝する国民の祝日である。

2023年11月22日水曜日

クリスマス飾り悲しき小春空

クリスマス飾り悲しき小春空

クリスマスの飾り付けが始まった病院の平和と、ガザの戦争と。
くりすますかざり かなしき こはるぞら
季語:小春(こはる)
陰暦十月の異称である。まだ本格的な冬とはならず暖かい日和が春先の陽気を思わせるが、春とは区別して「小春」という。冬囲いに精を出したり、越冬野菜を取り入れたり、大根や柿を吊るし干にしたり、本格的な冬に備えるころの日和である。

2023年11月21日火曜日

小春日や一寸覚りの心持ち

小春日や一寸覚りの心持ち

小春日はゆったりと力が抜けて心の中も穏やかになった氣がします。
こはるびや ちょっとさとりの こころもち
季語:こはるび(こはるび)
陰暦十月の異称である。まだ本格的な冬とはならず暖かい日和が春先の陽気を思わせるが、春とは区別して「小春」という。冬囲いに精を出したり、越冬野菜を取り入れたり、大根や柿を吊るし干にしたり、本格的な冬に備えるころの日和である。

2023年11月20日月曜日

冬の空昨日は何を食べたっけ

冬の空昨日は何を食べたっけ

晴々と広がる青空を眺めているとお腹が空いてきました。
ふゆのそら きのうはなにを たべたっけ
季語:冬の空(ふゆのそら)
本州を縦断する山脈の影響で、太平洋側は冷たい青空の日が多い のに対し、日本海側は厚い雪雲に覆われる日が多い。

2023年11月19日日曜日

短日や窓を眺めてつぶやけば

短日や窓を眺めてつぶやけば

日が短くなったなぁと窓を眺めている間にも日が暮れてゆきます。
たんじつや まどをながめて つぶやけば
季語:短日(たんじつ)
冬の日の短いことをいう。秋分以降、十一月、十二月と日暮は早くなり、冬至は最も日中の時間が短くなる。

2023年11月18日土曜日

落葉おちて落ちておちて飽きるまで

落葉おちて落ちておちて飽きるまで

風に吹かれて落葉は自由に舞い落ちてくる、飽きるまで見てる。
おちばおちて おちておちて あきるまで
季語:落葉(おちば)
晩秋から冬にかけて、落葉樹はすべて葉を落とす。散った木の葉ばかりでなく、木の葉の散る様子も地面や水面に散り敷いたようすも表わす。堆肥にしたり、焚き火にしたりする。

2023年11月17日金曜日

温泉に浸かっていたい夕時雨

温泉に浸かっていたい夕時雨

時雨れて薄ら寒いときはゆったりと温泉に浸かっていたくなります。
おんせんに つかっていたい ゆうしぐれ
季語:時雨(しぐれ)
冬の初め、降ったかと思うと晴れ、また降りだし、短時間で目まぐるしく変わる通り雨。この雨が徐々に自然界の色を消して行く。先人達は、さびれゆくものの中に、美しさと無常の心を養ってきた。

2023年11月16日木曜日

冬めくやするりと滑り落つマウス

冬めくやするりと滑り落つマウス

気温が下がり湿度も低く乾燥して手からマウスがまた滑り落ちる。
ふゆめくや するりとすべりおつ まうす
季語:冬めく(ふゆめく)
町のたたずまいや山野の眺めばかりでなく、雨や風、空気なども冬らしくなること。人の何気ないしぐさなどにも冬の訪れを感じることがある。

2023年11月15日水曜日

物陰に猫の寄り合い神の留守

物陰に猫の寄り合い神の留守

曇り空の帰り道の途中に猫が集まっている何してるんだろう?
ものかげに ねこのよりあい かみのるす
季語:神の留守(かみのるす)
陰暦十月は神無月と呼ばれ、全国の八百万の神様がこぞって出雲大社に集まる。神が留守となった神社の氏子たちは不安を覚え、恵比寿様などを留守神として祀る。信心の厚さゆえか、「神の旅」「神送」「神迎」、神が集まる出雲は逆に「神在祭」など類似の季語も多い。 

2023年11月14日火曜日

腕さらし朝の採血薄もみじ

腕さらし朝の採血薄もみじ

冷え込んだ朝の採血は腕を何度もアルコール消毒されて冷たっ!
うでさらし あさのさいけつ うすもみじ
季語:薄紅葉(うすもみじ)
緑の残る淡い色の紅葉をいう。紅葉の走りではあるが、深い紅の冬紅葉などとは違った趣を持つ。

2023年11月13日月曜日

凩や躓いて仰ぐ青空

凩や躓いて仰ぐ青空

昔からよく失敗をしてきましたが気持ちの切り替えは早いほうでした。
こがらしや つまずいて あおぐあおぞら
季語:凩(こがらし)
冬の到来を告げる強い北風。乾いた木の葉を吹き落とし、木を枯らす風という意味もある。吹き飛ばされた枯葉は風の道筋を追いかけてゆく。

2023年11月12日日曜日

コキッと鳴る肩の関節冬めける

コキッと鳴る肩の関節冬めける

右腕を動かすと肩の関節がコキッと鳴る、冬がやって来たようです。
こきっとなる かたのかんせつ ふゆめける
季語:冬めく(ふゆめく)
町のたたずまいや山野の眺めばかりでなく、雨や風、空気なども冬らしくなること。人の何気ないしぐさなどにも冬の訪れを感じることがある。

2023年11月11日土曜日

寒星や眠れずに彷徨う孤独

寒星や眠れずに彷徨う孤独

夜が更けて急に冬の寒さがやってきて目が覚めてしまいました。
かんぼしや ねむれずに さまようこどく
季語:寒星(かんぼし)
冬に見る星は、空気が澄んでいるので冴え冴えとしている。北斗七星やオリオン座など、星座の形をくっきりと見ることができる。

2023年11月10日金曜日

借り傘の慣れぬ重さや初時雨

借り傘の慣れぬ重さや初時雨

不意の雨に貸してもらった傘の重さと柄の持ち具合が気になって。
かりがさの なれぬおもさや はつしぐれ
季語:初時雨(はつしぐれ)
その年の冬の初めての時雨。冬になってしまったという気持ちが、この季語には込められている。

2023年11月9日木曜日

色気なき楓ばかりが並ぶ道

色気なき楓ばかりが並ぶ道

今年は暑さの影響でここも楓の色付きが遅れているようです。
いろけなき かえでばかりが ならぶみち
季語:楓(かえで)
楓は色づく樹々の中で特に美しく代表的なもの。その葉の形が蛙の手に似ていることから古くは「かえるで」とも。秋もさることながら春の緑も美しい。

2023年11月8日水曜日

立冬の日向は猫の昼寝床

立冬の日向は猫の昼寝床

外に出てみると立冬とは思えない暖かさで猫は昼寝の真っ最中です。
りっとうの ひなたはねこの ひるねどこ
季語:立冬(りっとう)
冬の最初の日。二十四節気の一。太陽暦の十一月八日頃。まだそれ程寒くはないが、冬の声を聞くと吹く風もこころなしか冷たく感じられる。

2023年11月7日火曜日

行く秋や風は一気に北風に

行く秋や風は一気に北風に

秋らしい日和が少なくて寒冷前線の通過で一気に冬がやってきそう。
ゆくあきや かぜはいっきに きたかぜに
季語:行く秋(ゆくあき)
過ぎさってゆく秋のこと。秋から冬へと移ろい行くさま。「行く春」と違って寂寥感に満ちており、秋を惜しむ気持ちが深く現れた季語である。移ろい行く季節を、旅人になぞらえて「行く」と形容するが、春と秋だけのもので、「行く夏」「行く冬」とはいわない。

2023年11月6日月曜日

人間の怖さ気高さ秋深し

人間の怖さ気高さ秋深し

人が人を殺す戦場となった街へ医療や報道のために行く人もいる。
にんげんの こわさけだかさ あきふかし
季語:秋深し(あきふかし)
秋の深まるころ、季節しとては晩秋(十月)、もの淋しさの漂うころのことをいうが、多分に心理的な言葉でもある。

2023年11月5日日曜日

とっぷりと暮れし軒下冬隣

とっぷりと暮れし軒下冬隣

ふと窓の外を見上げると夜の闇が広がって今夜も冷えそうです。
とっぷりと くれしのきした ふゆとなり
季語:冬隣(ふゆとなり)
立冬を目前にして、冬がすぐそこまで来ていることを表す。四季それぞれに、「隣」の一字をつけて季題とした。「冬隣」は寒く厳しい季節に向って心構える感じがある。

2023年11月4日土曜日

窓小さく開けて小春の昼下がり

窓小さく開けて小春の昼下がり

今日も夏日、少し開けた窓から小春の風が爽やかです。
まどちさく あけてこはるの ひるさがり
季語:小春(こはる)
陰暦十月の異称である。まだ本格的な冬とはならず暖かい日和が春先の陽気を思わせるが、春とは区別して「小春」という。冬囲いに精を出したり、越冬野菜を取り入れたり、大根や柿を吊るし干にしたり、本格的な冬に備えるころの日和である。

2023年11月3日金曜日

毎日が日曜日今日は文化の日

毎日が日曜日今日は文化の日

俳句も文化?!ということで今日も俳句を詠みました。
まいにちが にちようびきょうは ぶんかのひ
季語:文化の日(ぶんかのひ)
十一月三日の祝日。明治時代は天皇の誕生日として天長節、その 後、明治節に変わったが、第二次大戦後は平和と文化を推進する 日となり、文化の日と定められた。菊の盛りの頃である。

2023年11月2日木曜日

季節外れの暑さを愚痴る神の留守

季節外れの暑さを愚痴る神の留守

11月になって夏日とは呆れるほどの暑さにこれからどうなるやら。
きせつはずれの あつさをぐちる かみのるす
季語:神の留守(かみのるす)
陰暦十月は神無月と呼ばれ、全国の八百万の神様がこぞって出雲大社に集まる。神が留守となった神社の氏子たちは不安を覚え、恵比寿様などを留守神として祀る。信心の厚さゆえか、「神の旅」「神送」「神迎」、神が集まる出雲は逆に「神在祭」など類似の季語も多い。 

2023年11月1日水曜日

一人ずつ帰りて一人そぞろ寒

一人ずつ帰りて一人そぞろ寒

心魂のオンラインコンサートが終わり一人ずつ部屋に帰ります。
ひとりずつ かえりてひとり そぞろさむ
季語:そぞろ寒(そぞろさむ)
冷やかよりやや強く感ずる寒さ。「そぞろ」は「何となく」「わけもなく」の意味があり、体で感じる寒さというより、季節が移ろっていくさまを心に受け止め感ずる寒さ。