2021年5月31日月曜日

山滴るサラブレッドの悲しみは

山滴るサラブレッドの悲しみは

走ることが宿命のサラブレッドにも悲しみはあるだろう。
やましたたる さらぶれっどの かなしみは
季語:山滴る(やましたたる)
夏の青々と緑におおわれた山。新緑にはじまり、青葉の山、梅雨の山、鬱蒼と生い茂る盛夏の山など、その姿は次々と変化する。いずれも万物の生命力に溢れた山である。

2021年5月30日日曜日

舞い上がれそうな五月の向かい風

舞い上がれそうな五月の向かい風

そのまま舞い上がれそうな良い風が吹いている。
まいあがれそうな ごがつの むかいかぜ
季語:五月(ごがつ)
この月から夏に入るが、まだ、暑さや湿気が少ない。新緑が萌えて、一年の中でも特に清々しさを感じられる頃である。

2021年5月29日土曜日

青芒ここぞとばかりひかりけり

青芒ここぞとばかりひかりけり

青芒が一瞬の風を捉えてキラリと光る。
あおすすき ここぞとばかり ひかりけり
季語:青芒(あおすすき)
穂の出る前の青々と繁っている芒。葉の縁は鋭く手を切ることもある。山野や川原、町の空地など日本全国見ない所はないほど一般的な植物である。

2021年5月28日金曜日

梅雨の蝶あやとり糸に絡む指

梅雨の蝶あやとり糸に絡む指

蝶が舞うのを見て、あやとりをする手が思い浮かびました。
つゆのちょう あやとりいとに からむゆび
季語:梅雨の蝶(つゆのちょう)
梅雨の頃に見かける蝶のこと。アゲハチョウなどが多い。単に蝶では春の季語となる。

2021年5月27日木曜日

雨は降る梅雨入りしてもしなくても

雨は降る梅雨入りしてもしなくても

晴れたり降ったりぐずついた天気が続くのが梅雨ですね。
あめはふる つゆいりしても しなくても
季語:梅雨(つゆ)
六月ごろ、ひと月にわたって降りつづく長雨。さみだれのこと。ちょうど梅の実の熟れるころなので梅雨ともいう。梅雨の季節をさすこともある。

2021年5月26日水曜日

明易し夢の途中で覚める夢

明易し夢の途中で覚める夢

夜が明けるのが早くなりました。夢も途中で打ち切りに。
あけやすし ゆめのとちゅうで さめるゆめ
季語:明易し(あけやすし)
夏の夜の明けが早いことをいう。科学現象としては短夜と同じだが、短夜は夜が短いことをいうのに対して、明易は、明け急ぐ夜を嘆く思いが増さる。春分を境に一日一日昼の時間が長くなり、夏至にいたってそれが最長になる。

2021年5月25日火曜日

晴々と木々の梢の初夏の空

晴々と木々の梢の初夏の空

久しぶりに晴れた初夏の空に木々の新緑が映えます。
はればれと きぎのこずえの しょかのそら
季語:初夏(しょか)
陽暦なら五月、陰暦なら卯月のころを指す。空はからりと晴れ渡り、暑さもまだそれほど強くはない。まことにすがすがしい気候のころで、大型連休を利用して行楽客が山や海へ繰り出す。

2021年5月24日月曜日

青梅や真ん中にいるガキ大将

青梅や真ん中にいるガキ大将

青梅の中にガキ大将のような一際大きな実が一つ。
あおうめや まんなかにいる がきだいしょう
季語:青梅(あおうめ)
熟さない梅の実をいう。梅は梅雨のころ、みずみずしい浅みどりの芳香のある実を結ぶ。固くて酸味が強いが、梅酢や、梅酒、煮梅などを作る。梅干は黄をすこし帯びた実を用いる。

2021年5月23日日曜日

手のひらのメモ薄れたる薄暑かな

手のひらのメモ薄れたる薄暑かな

失くさないように手のひらに書いたメモが消えそうに。
てのひらの めもうすれたる はくしょかな
季語:季語よみがな
初夏の頃、やや汗ばむほどの暑さをいう。大正年間に定着した季語。夏のはじめの感覚的な季語である。

2021年5月22日土曜日

魔法の絨毯で行きたし五月野へ

魔法の絨毯で行きたし五月野へ

初夏の風を切って青々と広がる草原の上を飛んでみたい。
まほうのじゅうたんで ゆきたし さつきのへ
季語:五月野(さつきの)
夏野といえば美ヶ原とか富士の裾野など、広々としたところが思い描がかれる。風が渡ると青々と生い茂った草が、いっせいに靡いて大海原のようでもある。

2021年5月21日金曜日

雨止んで風吹いてきて緑映ゆ

雨止んで風吹いてきて緑映ゆ

雨に濡れた葉が風に吹かれて新緑が鮮やかです。
あめやんで かぜふいてきて みどりはゆ
季語:緑(みどり)
初夏の初々しい若葉の緑をいう。その頃のさわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。また段々と緑を増してゆく木々の微妙な色の違いも、この季節ならではのもの。

2021年5月20日木曜日

風薫ることも忘れておりにけり

風薫ることも忘れておりにけり

呼吸器では息が鼻を通らないので匂いが分からない。
かぜかおることも わすれて おりにけり
季語:風薫る(かぜかおる)
夏に吹きわたる風をほめたたえた季語であるが、新緑、若葉のころの風として使いたい季語でもある。語源は漢語の「薫風」で、それを訓読みして和語化したものである。

2021年5月19日水曜日

もやもやと痰引き切れぬ夏の霧

もやもやと痰引き切れぬ夏の霧

やけに痰がからんで引いても引いてもスッキリしない。
もやもやと たんひききれぬ なつのきり
季語:夏の霧(なつのきり)
ただ「霧」といえば秋の季語だが、夏にも霧はよく発生する。特に山地や海辺で出会うことが多い。また高原に広がる朝の霧は、その日訪れる暑さを思わせないほどの涼しさをもたらす。

2021年5月18日火曜日

傘差した記憶は遠く走り梅雨

傘差した記憶は遠く走り梅雨

今年も雨の季節がやって来ましたが傘を差したのは昔々。
かささした きおくはとおく はしりづゆ
季語:走り梅雨(はしりづゆ)
梅雨入りする前の五月下旬に、梅雨のごとく降る雨のこと。そのまま梅雨入りすることもあるが、回復して晴れの日が続くこともある。

2021年5月17日月曜日

カーテンの白帆のごとく迎へ梅雨

カーテンの白帆のごとく迎へ梅雨

換気のために開けた窓の風にカーテンが船の帆のよう。
かーてんの しらほのごとく むかえづゆ
季語:迎へ梅雨(むかえづゆ)
梅雨入りする前の五月下旬に、梅雨のごとく降る雨のこと。そのまま梅雨入りすることもあるが、回復して晴れの日が続くこともある。

2021年5月16日日曜日

梅雨めくも今日のところは降らざりし

梅雨めくも今日のところは降らざりし

例年にない早い梅雨入りと聞きますが今日は降らず。
つゆめくも きょうのところは ふらざりし
季語:梅雨めく(つゆめく)
梅雨に入ること。古い暦によれば立春から百二十七日目の六月十一日頃にあたる。以後三十日間ほどが梅雨である。気象庁により 梅雨入り宣言が出される。湿度と共に温度が上がり不快感を覚える。

2021年5月15日土曜日

目薬に鮮やか竹の若葉かな

目薬に鮮やか竹の若葉かな

目薬をさした目に竹の若葉の緑が鮮やかです。
めぐすりに あざやか たけのわかばかな
季語:竹の若葉(たけのわかば)
初夏、地上に出た筍は、茶色の皮を脱いで新しい竹となる。ぐんぐん伸びてみずみずしい若葉を広げる。その年に生えたので今年竹ともいう。

2021年5月14日金曜日

バリカンの音かろやかに若葉風

バリカンの音かろやかに若葉風

待ちに待った散髪、バリカンの音も心地よく響きます。
ばりかんの おとかろやかに わかばかぜ
季語:若葉風(わかばかぜ)
若葉に吹く風。

2021年5月13日木曜日

さざなみの畦こえて吹く植田かな

さざなみの畦こえて吹く植田かな

早いところは田植えも進んでいるでしょうね。
さざなみの あぜこえてふく あおたかな
季語:植田(うえた)
田植を終えてまもない田。苗が動かないように田水が満々と張られ、空や周囲の風景を映している。稲の苗を植える田も植田という。

2021年5月12日水曜日

ワクチンで発熱したと若葉寒

ワクチンで発熱したと若葉寒

二回目のワクチン接種で発熱したのは若い人が多いとか。
わくちんで はつねつしたと わかばさむ
季語:若葉寒(わかばさむ)
やわらかく瑞々しい若葉が美しい頃に寒くなること。

2021年5月11日火曜日

絆創膏ひりりと剥がす夕薄暑

絆創膏ひりりと剥がす夕薄暑

指のセンサーを貼り直すとき絆創膏を剥がす思わぬ痛さ。
ばんそうこう ひりりとはがす ゆうはくしょ
季語:夕薄暑(ゆうはくしょ)
初夏のやや汗ばむ日中の暑さも遠のき、涼しさが予感できる初夏の夕暮れの気持ちがいい時間帯。

2021年5月10日月曜日

青芒早くも初夏を先駆けて

青芒早くも初夏を先駆けて

生え始めた草の中で先頭切って伸びるのは青芒。
あおすすき はやくもしょかを さきがけて
季語:青芒(あおすすき)
穂の出る前の青々と繁っている芒。葉の縁は鋭く手を切ることもある。山野や川原、町の空地など日本全国見ない所はないほど一般的な植物である。

2021年5月9日日曜日

母の日や母しか読めぬ母の文字

母の日や母しか読めぬ母の文字

卓上カレンダーにびっしりと書き込まれた小さな母の文字。
ははのひや ははしかよめぬ ははのもじ
季語:母の日(ははのひ)
母に感謝して贈り物などをする日。五月の第二日曜を当てる。アメリカで一九〇七年、A・ジャービスの提唱に始まるとされる。日本では敗戦後に一般化した。カーネーションの花がつきものである。

2021年5月8日土曜日

見上げれば立夏の窓を雨上がる

見上げれば立夏の窓を雨上がる

昨日からの雨も気がついたら止んでいました。
みあげれば りっかのまどを あめあがる
季語:立夏(りっか)
二十四節気の一つ。陽暦の五月六日ごろ。暦のうえではこの日からが夏。実感からするといささか早い気もするが、もう夏に入りましたと定められると、目に入る景色も新しい夏の光を纏いはじめたように思える。 

2021年5月7日金曜日

ほろほろと空豆ほぐれ夕暮れて

ほろほろと空豆ほぐれ夕暮れて

柔らかく茹でられた空豆が舌の上でほろほろとほぐれて。
ほろほろと そらまめほぐれ ゆうぐれて
季語:空豆(そらまめ)
お多福の形をした薄緑の大きな豆。「そら豆はまことに青き味したり」(細見綾子)の句のとおり、初夏の訪れを感じさせる食べ物の一つ。莢が空に向かってつくためこの名がある。また、莢の形が蚕に似ていることから蚕豆という字をあてることもある。茹でたり、莢ごと焼いたりして食べる。

2021年5月6日木曜日

うまさうな春大根の葉っぱかな

うまさうな春大根の葉っぱかな

引き抜いた春大根の葉の瑞々しくてうまそうです。
うまそうな はるだいこんの はっぱかな
季語:春大根(はるだいこん)
普通、大根は初秋に種子を蒔いて、冬収穫するが、晩秋に種子を蒔き、翌年の四~六月に収穫するものもある。これを春大根という。

2021年5月5日水曜日

南風水ようかんのやわらかさ

南風水ようかんのやわらかさ

雨模様の柔らかな風の吹く昼の水ようかんも柔らかく。
みなみかぜ みずようかんの やわらかさ
季語:南風(みなみかぜ)
夏の季節風。冬の北風がからからに乾いているのに対し、この風は湿っていて暑苦しい。「みなみ」だけで風を省略した呼び名は、もともとは漁師、船乗り言葉だったことによる。

2021年5月4日火曜日

風と葉と光り合うなりみどりの日

風と葉と光り合うなりみどりの日

初々しい若葉の緑が風に煌めいています。
かぜとはと ひかりあうなり みどりのひ
季語:みどりの日(みどりのひ)
国民の祝日で五月四日。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」ことを趣旨とする。

2021年5月3日月曜日

竹落葉風の形のそのままに

竹落葉風の形のそのままに

風が吹くと古い竹の葉が舞い踊るように降ってきます。
たけおちば かぜのかたちの そのままに
季語:竹落葉(たけおちば)
竹の落葉。竹は若竹の伸びるころ、新しい葉を出し、黄ばんだ古い葉を落とす。これが「竹落葉」で、掃いても掃いてもきりがないほど降ってくる。落葉というと冬の季語であるが竹落葉は夏の季語となる。

2021年5月2日日曜日

ふるさとは遠き八十八夜かな

ふるさとは遠き八十八夜かな

故郷の一面に広がる茶畑を思い浮かべる八十八夜です。
ふるさとは とおき はちじゅうはちや かな
季語:八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から八十八日目。「夏も近づく八十八夜」で始まる小学唱歌の歌詞にあるように立夏も間近く、農事、殊に種蒔に適した時の到来を意味する大切な日。

2021年5月1日土曜日

身構えていれば春雷遠ざかる

身構えていれば春雷遠ざかる

地震雷火事親父とは言うけれど、地震と雷!驚いた!
みがまえていれぱ しゅんらい とおざかる
季語:春雷(しゅんらい)
春に鳴る雷をいう。特に立春を過ぎてから初めてなる雷を初雷という。春の雷には積乱雲の起こす夏の雷の烈しさはない。