2022年3月31日木曜日

かたくりの花は祈りの形して

かたくりの花は祈りの形して

うつむいて咲くかたくりの花は祈っているように見えます。
かたくりのはなは いのりの かたちして
季語:片栗の花(かたくりのはな)
ゆり科の多年草で山地の樹陰などに多く自生する。早春地上に二葉を出してその間から長い花茎をのばし姫百合に似た鐘形で紅紫色の六弁花を一個下垂する。かたかごの花、うばゆりなどとも呼ばれ可憐な花である。

2022年3月30日水曜日

桜咲く泣きたいほど空があおい

桜咲く泣きたいほど空があおい

今年も桜を見ることができました。空の青さも鮮やかでした。
さくらさく なきたいほど そらがあおい
季語:桜(さくら)
桜は花の中の花。古来より詩歌に歌われ、日本人に愛されてきた花である。もともとは、山野に自生する野生種であったが、江戸末期から明治にかけて、栽培種である染井吉野が誕生し、現在では、桜といえば染井吉野をさす。

2022年3月29日火曜日

吸引の音に目覚めて朧かな

吸引の音に目覚めて朧かな

夜中の吸引の音に目が覚めて朝までうつらうつら。
きゅういんの おとにめざめて おぼろかな
季語:朧(おぼろ)
春、は空気中に水蒸気が多いので、像がぼんやりと潤んで見える。その現象を昼は霞といい夜は朧という。

2022年3月28日月曜日

また届く不審なメール花曇

また届く不審なメール花曇

最近、怪しいメールが届くようになって、今日もまた届く。
またとどく ふしんなめーる はなぐもり
季語:花曇(はなぐもり)
桜が咲く頃の曇り空を言う。雲が低く垂れ込めるほどではなく、比較的明るい曇り空である。太陽に暈がかかることもある。

2022年3月27日日曜日

二十歳までと言われし病長閑なり

二十歳までと言われし病長閑なり

昔、二十歳までの命と言われた病と共に六十七年目の春です。
はたちまでと いわれしやまい のどかなり
季語:長閑(のどか)
春の日ののんびりとしたさまをいう。日も長くなり、時間もゆるやかに過ぎるように感じる。

2022年3月26日土曜日

踏切を過ぎゆく電車春の夢

踏切を過ぎゆく電車春の夢

小田急の白いロマンスカーが引退。残念、一度乗ってみたかった。
ふみきりを すぎゆくでんしゃ はるのゆめ
季語:春の夢(はるのゆめ)
春の眠りにみる夢のこと。夢は春夏秋冬いつでも見るけれど、とくに春の夢は儚きもの譬えとして、古来、歌に詠まれ、物語に語られてきた。「ただ春の夜の夢の如し」などのように。

2022年3月25日金曜日

永き日の夢から覚めた夢も夢

永き日の夢から覚めた夢も夢

いつの間にか眠っていた夢から覚めた夢を見ていた春の午後。
ながきひの ゆめからさめた ゆめもゆめ
季語:永き日(ながきひ)
春になり、昼の時間が伸びて来ることをいう。実際は夏のほうが春より日が長いが、心理的には冬に比べて、春は日が長く感じられる。

2022年3月24日木曜日

節電の廊下のあかり春の暮

節電の廊下のあかり春の暮

電力ひっ迫警報が出てから節電で廊下が少し暗くなりました。
せつでんの ろうかのあかり はるのくれ
季語:春の暮(はるのくれ)
春の季節の終わりという意味と、春の一日の夕暮れどきというふた通りの意味がある。古くは前者の意味で使われることが多かったが、今日では春の夕暮で使われることが多い。

2022年3月23日水曜日

刈草の上に刈草春霞

刈草の上に刈草春霞

早くも刈草が山と積まれていました。
かりくさの うえにくりくさ はるがすみ
季語:春霞(はるがすみ)
春の山野に立ち込める水蒸気。万物の姿がほのぼのと薄れてのどかな春の景色となる。同じ現象を夜は「朧」とよぶ。

2022年3月22日火曜日

春みぞれ電力ひっ迫警報の夜

春みぞれ電力ひっ迫警報の夜

寒の戻りと電力不足で計画停電するかもしれないとの知らせが。
はるみぞれ でんりょくひっぱく けいほうのよる
季語:春霙(はるみぞれ)
春に降る霙のこと。芽吹き始めた庭木や草へ微かな音を立てて降ったりする。  

2022年3月21日月曜日

春分の日の昼は陽気に夜は鬱ぎ

春分の日の昼は陽気に夜は鬱ぎ

昼間は天気が良くて春が来たと喜んだのに夜になってまた寒の戻り。
しゅんぶんのひの ひるはようきに よはふさぎ
季語:春分の日(しゅんぶんのひ)
三月二十一日前後。戦後、国民の祝日として法律で定めれられた。「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされている。昼夜の長さがほぼ等しく、彼岸の中日にあたる。この頃から暖かくなり、行楽に適した日和となる。

2022年3月20日日曜日

ふたつのニュース戦争のこと花のこと

ふたつのニュース戦争のこと花のこと

お昼のニュースのウクライナの惨状と桜が開花したこと。
ふたつのにゅーす せんそうのこと はなのこと
季語:花(はな)
花といえば桜。しかし、花と桜は同じ言葉ではない。桜といえば植物であることに重きがおかれるが、花といえば心に映るその華やかな姿に重心が移る。いわば肉眼で見たのが桜、心の目に映るのが花である。

2022年3月19日土曜日

春時雨エース再びマウンドへ

春時雨エース再びマウンドへ

一旦守備に回っていたエースピッチャーがリリーフに、抑えるか!
はるしぐれ えーすふたたび まうんどへ
季語:春時雨(はるしぐれ)
時雨は冬の季語であるが、春にも時雨のように断続的に降ることがある。「春」がつくことによって、明るい感じがある。季語として使用されるようになってからの期間は短い。

2022年3月18日金曜日

入り彼岸冷たい雨となりにけり

入り彼岸冷たい雨となりにけり

昨日までの暖かさが嘘のような冷たい雨の彼岸の入りでした。
いりひがん つめたいあめと なりにけり
季語:季語よみがな
彼岸の入りの日。彼岸は春分の日を中日として、その前後三日の計七日間を指す。このころになると、「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように寒さも治まる。秋の彼岸は「秋彼岸」。

2022年3月17日木曜日

停電の闇に灯るや春の月

停電の闇に灯るや春の月

停電で都会の灯が消えて真っ暗な夜空に春の月が浮かんでいました
ていでんの やみにともるや はるのつき
季語:春の月(はるのつき)
空気中の水分が増す春は、月も潤んだ感じがする。「秋の月はさやけきを賞で、春の月は朧なるを賞づ」と昔から言われる。月といえば秋の月をさすので、春の一字を加えて春季とする。

2022年3月16日水曜日

クリスマスローズ俯き春愁う

クリスマスローズ俯き春愁う

ピンク色のクリスマスローズが俯きかげんに咲いています。
くりすますろーず うつむき はるうれう
季語:春愁う(はるうれう)
春におぼえる愁いをいう。特別な理由がある愁いではない。花が咲き鳥が囀る季節ではあるが、ふとしたことで心がくもるのも春ならではのこと。

2022年3月15日火曜日

停戦は未だ成らざり春半ば

停戦は未だ成らざり春半ば

これ以上命が失われないように一刻も早く停戦を。
ていせんは いまだならざり はるなかば
季語:春半ば(はるなかば)
三春(初春・仲春・晩春)のうちの半ば。ほぼ陽暦の三月にあたる。はじめは春浅い感じが少し残っているが、日を追って春の気が満ちてくる。

2022年3月14日月曜日

リハビリのあとの手足や春の汗

リハビリのあとの手足や春の汗

初夏のような暑さになりました、リハビリで血行がよくなりました。
りはびりの あとのちあしや はるのあせ
季語:春の汗(はるのあせ)
仲春或いは晩春の季節の移り行く時、好天に恵まれたりして、気温がぐんと上がり、時には汗ばむほどの暑さを覚える。夏の耐え難い暑さとは違う。

2022年3月13日日曜日

眠そうな食事介助や春の昼

眠そうな食事介助や春の昼

俳食事介助しながら今にも眠りに落ちそうなぽかぽか陽気。
ねむそうな しょくじかいじょや はるのひる
季語:春の昼(はるのひる)
春の真昼をいう。明るく暖かく閑かなものである。

2022年3月12日土曜日

春風や悲しみもまた込み上げる

春風や悲しみもまた込み上げる

三月、春の喜びもあれば東日本大震災の悲しみも思い出されます。
はるかぜや かなしみもまた こみあげる
季語:春風(はるかぜ)
春に吹く風をいう。草花やこの芽を育み、鳥のさえずるを誘う、暖かく穏やかな風である。

2022年3月11日金曜日

あたたかし花の話に花がさく

あたたかし花の話に花がさく

暖かくなりました。桜の開花が早まりそうな気がします。
あたたかし はなのはなしに はながさく
季語:暖かし(あたたかし)
暑くも寒くもないほどよい温度。冬の寒さを越えてきた身には、暖かさは体で感じるばかりでなく、心にも大きく働く。四季の体感温度をあらわす季語として、夏の「暑し」、秋の「冷やか」、冬の「寒し」に相応する。

2022年3月10日木曜日

人間の心の闇と春の闇

人間の心の闇と春の闇

夜は明けるし春もやってきますが、わからないのは人間の心の闇。
にんげんの こころのやみと はるのやみ
季語:春の闇(はるのやみ)
月のない春の夜の闇をいう。潤んだ闇のそこここに、たしかな春の息吹が感じられる。

2022年3月9日水曜日

青空に緋寒桜の咲き満ちて

青空に緋寒桜の咲き満ちて

梅は散り桜はまだかと思いきや緋寒桜が満開でした。
あおぞらに ひかんざくらの さきみちて
季語:緋寒桜(ひかんざくら)
バラ科の落葉低木。1~3月ごろ、葉より先に、濃紅色の花が半開きに下を向いて咲く。関東地方以南で庭などに植える。元日桜。寒緋(かんひ)桜。緋桜。

2022年3月8日火曜日

人事異動始まる頃や水温む

人事異動始まる頃や水温む

一階病棟から来たという初対面の看護師さん。
じんじいどう はじまるころや みずぬるむ
季語:水温む(みずぬるむ)
春になって、水の温かさを増してくること。それに伴って芽ぐんだ水草は成長し、水に棲む生きものは活発に動き始める。

2022年3月7日月曜日

あさぼらけ春の朝のいとほしさ

あさぼらけ春の朝のいとほしさ

春の朝のぼんやりと明るくなってくる頃は良いなぁと思います。
あさぼらけ はるのあしたの いとおしさ
季語:春の朝(はるのあさ)
四季それぞれに朝があるが、冬から解放された春の朝には、また特別の喜びがある。よく晴れた日の輝くような朝、雨の降っているしっとりとした朝、霞みがかっている朝など、春の朝には心地よい印象が強い。

2022年3月6日日曜日

春一番何事もなく誕生日

春一番何事もなく誕生日

誕生日、昔は待ち遠しかったのに今は何事もなく過ぎてゆきます。
はるいちばん なにごともなく たんじょうび
季語:春一番(はるいちばん)
立春後、はじめて吹く強い南寄りの風。この風で草木の芽がほどけはじめ、春の本格的な訪れとなる。もともとは漁師言葉である。

2022年3月5日土曜日

啓蟄や充電を待つ車椅子

啓蟄や充電を待つ車椅子

車椅子の呼吸器の充電しながら部屋の隅に出番を待っています。
けいちつや。じゅうでんをまつ くるまいす
季語:啓蟄(けいちつ)
二十四節気の一つで三月六日ころ。「啓」は「ひらく」、「蟄」は「土の中で冬ごもりしている虫」の意で、冬眠していた蛇や蛙などが暖かさに誘われて穴から出てくるころとされる。実際に虫が活動を始めるのはもっと暖かくなってからである。

2022年3月4日金曜日

なお続く軍事侵攻余寒なお

なお続く軍事侵攻余寒なお

俳世界中の非難をよそにロシアは軍事侵攻を続けると言いはる。
なおつづく ぐんじしんこう よかんなお
季語:余寒(よかん)
寒が明けてからもなお残る寒さ。春の兆しはそれとなくあるものの、まだまだ寒さは続く。立秋以後の暑さを「残暑」というが、それに対応する季語である。

2022年3月3日木曜日

押し入れに眠っておりし母の雛

押し入れに眠っておりし母の雛

今日は雛祭、ふと思い出す母の木目込の内裏雛。
おしいれに ねむっておりし ははのひな
季語:雛(ひな)
三月三日、女の子の健やかな成長を願うお祭である。雛人形を飾り、白酒や雛あられをふるまって祝う。

2022年3月2日水曜日

雨音に耳そばだてる春の宵

雨音に耳そばだてる春の宵

待ちわびていた雨が降ってきたようです。
あまおとに みみそばだてる はるのよい
季語:春の宵(はるのよい)
春、日暮れて間もないころのこと。また、「春宵一刻値千金」という有名な詩句は夜に入って間もないころの優雅なひとときをいう。

2022年3月1日火曜日

うららかや双子パンダのうりふたつ

うららかや双子パンダのうりふたつ

双子なら似ていて当然ながら、それにしても可愛い。
うららかや ふたごぱんだの うりふたつ
季語:麗か(うららか)
春の日がうるわしくなごやかに照って、よろずの物が輝くさまをいう。