2021年8月31日火曜日

叩かれてまた売れ残る西瓜かな

叩かれてまた売れ残る西瓜かな

西瓜は叩いた音で選ばれますが、残った西瓜は叩かれ損。
たたかれて またうれのこる すいかかな
季語:西瓜(すいか)
ウリ科蔓性の一年草である。球形のものと楕円形のものがあり、黒い縞模様が特徴的。果肉は赤色、黄色がある。水分を多く含み甘い。清水に浮かべたり、井戸につるしたりして冷やして食べる。

2021年8月30日月曜日

冬瓜のとろとろ眠気さそいけり

冬瓜のとろとろ眠気さそいけり

冬瓜の煮物の柔らかさ。今日から個室よく眠れそうです。
とうがんの とろとろねむけ さそいけり
季語:冬瓜(とうがん)
熱帯アジア原産のウリ科の一年草。果実は淡緑色、楕円形でとても大きい。熟して淡緑色の外皮が白いろう質におおわれた頃に収穫する。長い貯蔵に耐え、半年ほどももつという。煮食、葛あんかけ、汁の実などにして食べる。白い果肉は煮ると透きとおって涼しげ。淡泊な味わいで、独特の食感がある。

2021年8月29日日曜日

露草やはじめて買った虫めがね

露草やはじめて買った虫めがね

子供の頃はじめて虫めがねで見た露草の綺麗だったこと!
つゆくさや はじめてかった むしめがね
季語:露草(つゆくさ)
道ばたや庭先にふつうにみかける秋の草。貝の形の小さいがあざやかな青い花は、古くから染料にも使われてきた。月草、蛍草ともいう。

2021年8月28日土曜日

ちらほらと穂の出ておりぬ夕すすき

ちらほらと穂の出ておりぬ夕すすき

いつの間にか青芒の中にちらほらと穂がでてきました。
ちらほらと ほのでておりぬ ゆうすすき
季語:芒(すすき)
イネ科の多年草。月見のおそなえとして秋の代表的な植物。秋の七草のひとつでもある。若い穂はしっとりとして油に濡れたよう。箱根の仙石原などで銀色の穂がいっせいになびくさまは壮観である。

2021年8月27日金曜日

倒れてもまた起き上がり残暑なほ

倒れてもまた起き上がり残暑なほ

車椅子バスケット、ラグビー、超人的な動き!
たおれても またたちあがり ざんしょなお
季語:残暑(ざんしょ)
立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。

2021年8月26日木曜日

病床のうだり夕づく残暑かな

病床のうだり夕づく残暑かな

また暑さがぶり返して、ようやく夕方になってきました。
びょうしょうの うだりゆうづく ざんしょかな
季語:残暑(ざんしょ)
立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。

2021年8月25日水曜日

残る蝉緊急事態宣言下

残る蝉緊急事態宣言下

緊急事態宣言の地域が広がる中、蝉はまだ鳴いています。
のこるせみ きんきゅうじたい せんげんか
季語:残る蝉(のこるせみ)
立秋を過ぎて鳴く蝉のこと。盂蘭盆の頃の蝉の鳴き声にはまだまだ力強いものがある。夕方になると、油蝉などに混じってかなかなやつくつく法師も鳴き始める。秋も深まるにつれて蝉の声も弱弱しくなり、いつの間にか鳴き声もとだえてしまう。

2021年8月24日火曜日

秋暑し湯上がりの日はまだ高く

秋暑し湯上がりの日はまだ高く

順番が早くて風呂を出たのはまだ午後二時を回ったところ。
あきあつし ゆあがりの ひはまだたかく
季語:秋暑し(あきあつし)
立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。

2021年8月23日月曜日

晴れるかも降るかもしれぬ処暑の風

晴れるかも降るかもしれぬ処暑の風

天気予報によると、晴れ間もあるが雨もある、らしい。
はれるかも ふるかもしれぬ しょしょのかぜ
季語:処暑(しょしょ)
二十四節気の一つ。立秋の十五日後で、八月二十二、二十三日ごろ。「処」は暑さが収まる意だが、実際はまだまだ暑い日が続く。台風が頻繁にやってくる時期にもあたる。

2021年8月22日日曜日

朝顔や猫は見向きもせずにゆく

朝顔や猫は見向きもせずにゆく

きれいに咲いた朝顔の前を見向きもせずに通り過ぎる猫。
あさがおや ねこはみむきも せずにゆく
季語:朝顔(あさがお)
朝顔は、秋の訪れを告げる花。夜明けに開いて昼にはしぼむ。日本人はこの花に秋の訪れを感じてきた。奈良時代薬として遣唐使により日本にもたらされた。江戸時代には観賞用として栽培されるようになった。旧暦七月(新暦では八月下旬)の七夕のころ咲くので牽牛花ともよばれる。

2021年8月21日土曜日

風渡る田の面あかるき稲の花

風渡る田の面あかるき稲の花

稲の花を実際に見たことはないけれど。
かぜわたる たのもあかるき いねのはな
季語:稲の花(いねのはな)
花穂に綿毛のような花を付ける。開花時間は通常十時~十二時、終わった花が田の面に浮遊するのは風情がある。農耕の民にとって稲の花は米の出来高と直結することであり、祈りを持ってみつめる花である。

2021年8月20日金曜日

借り傘を差せば重たし秋の雨

借り傘を差せば重たし秋の雨

傘を借りて差してみるとやけに思い?!という夢を見た。
かりがさを させばおもたし あきのあめ
季語:秋の雨(あきのあめ)
秋に降る雨のこと。初秋に降る暑さを和らげる雨、台風がもたらす強く激しい雨、晩秋の冷たい雨といろいろあるが、秋雨前線による秋の長雨が印象深い。春の雨にくらべて寂しい風情がある。

2021年8月19日木曜日

秋めくや雲間に覗く空の色

秋めくや雲間に覗く空の色

雨がやんだ後の空の色になんとなく秋の気配を感じました。
あきめくや くもまにのぞく そらのいろ
季語:季語よみがな
周辺の景色や空気が秋らしくなってくることを言う。目や耳や肌で秋の訪れを感じ取った感慨がこの季語の本意である。

2021年8月18日水曜日

狐雨音もなく立つ秋の虹

狐雨音もなく立つ秋の虹

突然降ってくる天気雨、止めば虹が現れそうです。
きつねあめ おともなくたつ あきのにじ
季語:秋の虹(あきのにじ)
秋に立つ虹のこと。夏の虹ははっきりと大空にその大輪を掛けるが、秋の虹は色が淡くすぐに消えてしまうことが多い。

2021年8月17日火曜日

渾身の一球や秋雨に消ゆ

渾身の一球や秋雨に消ゆ

土砂降りの甲子園、結末は降雨コールドゲーム。
こんしんの いっきゅうや あきさめにきゆ
季語:秋雨(あきさめ)
秋に降る雨のこと。初秋に降る暑さを和らげる雨、台風がもたらす強く激しい雨、晩秋の冷たい雨といろいろあるが、秋雨前線による秋の長雨が印象深い。春の雨にくらべて寂しい風情がある。

2021年8月16日月曜日

秋出水パトカーまでも立往生

秋出水パトカーまでも立往生

各地で線状降水帯が発生しパトカーも泥水の真っ只中に。
あきでみず ぱとかーまでも たちおうじょう
季語:秋出水(あきでみず)
盆過ぎの集中豪雨や台風がもたらす雨で河川の水があふれること。収穫を前にした田が台無しになることもある。

2021年8月15日日曜日

終戦の日の母はまだ十三歳

終戦の日の母はまだ十三歳

私が今あるのは、父母が戦争、空襲を生き抜いたから。
しゅうせんのひの はははまだ じゅうさんさい
季語:終戦の日(しゅうせんのひ)
八月十五日。昭和二十年のこの日、日本はポツダム宣言を受諾して第二次世界大戦は終了した。戦争の誤ちを反省し、平和の希求を確認する日。各地で戦没者を追悼する催しが行われる。

2021年8月14日土曜日

墓参りする少年や涼新た

墓参りする少年や涼新た

我が家のお墓参りもしてくれてありがとう、合掌。
はかまいりする しょうねんや りょうあらた
季語:涼新た(りょうあらた)
秋に入ってから感じる涼しさのこと。「涼し」だけでは、夏の季語となる。夏の暑さの中で感じられる涼しさではなく、「涼しく過ごしやすい季節」になってきたことをいう。

2021年8月13日金曜日

秋雨や経年劣化と言われし歯

秋雨や経年劣化と言われし歯

舌の上のころころ硬いものは歯でした。歳ですね。
あきさめや けいねんれっかと いわれしは
季語:秋雨(あきさめ)
秋に降る雨のこと。初秋に降る暑さを和らげる雨、台風がもたらす強く激しい雨、晩秋の冷たい雨といろいろあるが、秋雨前線による秋の長雨が印象深い。春の雨にくらべて寂しい風情がある。

2021年8月12日木曜日

雨に開く百合の蕾の白さかな

雨に開く百合の蕾の白さかな

窓の外に生えた百合の蕾が開いて白さが鮮やかです。
あめにひらく ゆりのつぼみの しろさかな
季語:百合(ゆり)
百合は夏、ラッパ形の香り高い花を咲かせる。白に紅の斑がある山百合、黄赤に紫の斑がある鬼百合、花が大砲の筒のような鉄砲百合など、原種だけでも百種以上を数える。「ゆり」の語源は「揺り」で、「百合」の字を当てるのは、ゆり根の鱗茎の重なりあうさまからきている。

2021年8月11日水曜日

秋暑し路地を曲がれば行き止まり

秋暑し路地を曲がれば行き止まり

近道と思って曲がった先は行き止まり!
あきあつし ろじをまがれば いきどまり
季語:秋暑し(あきあつし)
立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。

2021年8月10日火曜日

雲は湧き溢れる夏の光かな

雲は湧き溢れる夏の光かな

夏の甲子園が始まりました。立秋は過ぎても球場は真夏。
くもはわき あふれるなつの ひかりかな
季語:夏(なつ)
四季の第二。春と秋の間で、暦の上では立夏から立秋の前日までをいい、天文学では夏至から秋分までをいう。一年中で最も高温・多湿で、日中が長い。

2021年8月9日月曜日

オリンピック終わってしまい秋の雨

オリンピック終わってしまい秋の雨

コロナ禍の猛暑の中のオリンピックが終わりました。
おりんぴっく おわってしまい あきのあめ
季語:秋の雨(あきのあめ)
秋に降る雨のこと。初秋に降る暑さを和らげる雨、台風がもたらす強く激しい雨、晩秋の冷たい雨といろいろあるが、秋雨前線による秋の長雨が印象深い。春の雨にくらべて寂しい風情がある。

2021年8月8日日曜日

ゆく夏や平和であれと祈りつつ

ゆく夏や平和であれと祈りつつ

オリンピックの閉会式を見ました。平和でなければならぬ。
ゆくなつや へいわであれと いのりつつ
季語:ゆく夏(ゆくなつ)
夏の終りである。果てる、終る、の語には物悲しい思いがつきまとう。帰省や避暑などが終わり、去り行く夏が惜しまれる。

2021年8月7日土曜日

立秋やキャラメルはみな溶けており

立秋やキャラメルはみな溶けており

立秋とは言え暑さは盛、ポケットのキャラメルは溶けてる。
りっしゅうや きゃらめるは みなとけており
季語:立秋(りっしゅう)
二十四節気の一つ。文字どおり、秋立つ日であり、四季の節目となる「四立」(立春、立夏、立秋、立冬)の一つ。この日から立冬の前日までが秋である。新暦の八月七日ころにあたる。実際には一年で一番暑いころであるが、朝夕の風音にふと秋の気配を感じるころでもある。

2021年8月6日金曜日

空蝉と聞く空襲の話かな

空蝉と聞く空襲の話かな

この時期になると空襲の話を聞いたことを思い出します。
うつせみときく くうしゅうの なはしかな
季語:空蝉(うつせみ)
蝉のぬけ殻のこと。もともと「現し身」「現せ身」で、生身の人間をさしたが、のちに、「空せ身」空しいこの身、魂のぬけ殻という反対の意味に転じた。これが、「空蝉」蝉のぬけ殻のイメージと重なった。

2021年8月5日木曜日

走れない歩くしかない酷暑かな

走れない歩くしかない酷暑かな

最も過酷な競技と言われている競歩を見ていました。
はしれない あるくしかない こくしょかな
季語:酷暑(こくしょ)
七月の末から八月の上旬にかけて、きびしい暑さになる。暑さの激しいことをいう。

2021年8月4日水曜日

眩しくてけたたましくて蝉時雨

眩しくてけたたましくて蝉時雨

あまりにも日差しが眩しくて木陰に来れば降り注ぐ蝉の声。
まぶしくて けたたましくて せみしぐれ
季語:蝉時雨(せみしぐれ)
夏、樹木などにへばりついてやかましく鳴声を立てる虫。多くの蝉がいっせいに鳴く騒がしさを時雨にたとえて蝉時雨という。

2021年8月3日火曜日

部屋中が緑陰となる真昼かな

部屋中が緑陰となる真昼かな

窓から差し込む真昼の日差しの照り返しは涼やかな緑色。
へやじゅうが りょくいんとなる まひるかな
季語:緑陰(りょくいん)
夏の日差しのもとのよく繁った木の陰をいう。日差しが強くなってくると緑陰の涼しさは何よりである。緑陰で読書をしたり昼寝をしたり、家族で食卓を囲んだりするのも楽しい。

2021年8月2日月曜日

言い出せぬ言葉がひとつラムネ玉

言い出せぬ言葉がひとつラムネ玉

ラムネを飲み終えてもなかなか言えない「ごめん」の一言。
いいだせぬ ことばがひとつ らむねだま
季語:ラムネ(らむね)
炭酸飲料の一つである。炭酸水に甘味やレモンの香を加えたもの。瓶の口に栓がわりのガラス玉がはめてあって、それを瓶の中へ押し込んでから飲む。のむ度に瓶とガラス玉が触れ合い、いかにも涼し気である。

2021年8月1日日曜日

炎昼や己の影を踏みしめる

炎昼や己の影を踏みしめる

真昼の影は真下に、己の影を踏みしめて夏に立ち向かう。
えんちゅうや おのれのかげを ふみしめる
季語:炎昼(えんちゅう)
真夏の昼間。炎天の炎と昼間の昼からできた言葉。昭和十三年刊行の山口誓子の句集名から広まったという。字の激しさや語感の強さが現代的な感覚を詠むのにも適す。